研究者メンバーの発言

女性の活躍の場の拡大2025.03.31

令和6年度「なでしこ銘柄」レポート

 令和6年度「なでしこ銘柄」レポートに審査委員会の委員長として下記のメッセージを寄稿しました。 

 レポート全体は経産省のHPの該当箇所をご覧ください。研究者メンバーの武石恵美子氏のメッセージも掲載されています。


 令和6年度の「なでしこ銘柄」の審査を通じて感じたことをお伝えします。第1に、「なでしこ銘柄」に応募した企業の多くは、女性の活躍推進にとどまらず、多様な人材を受け入れ、活躍できる組織を目指す「ダイバーシティ経営」に取り組んでいます。ダイバーシティ経営とは、企業が必要とする能力・経験・ポテンシャルを備え、企業理念やパーパスに共感できる人材であれば、属性や価値観に関わらず受け入れ、それぞれが活躍できる環境を整える取り組みです。言い換えれば、多様な人材を受け入れること自体が目的なのではなく、企業の成長や持続可能性の向上につなげることが重要なのです。第2に、女性の活躍の場の拡大のために、自社の現状を丁寧に分析し、課題解決に積極的に取り組んでいる企業が多く見られました。しかし、業界特性や各社の歴史的背景などから、女性管理職の登用など具体的な成果がまだ十分に表れていない企業もあり、結果として「なでしこ銘柄」に選定されなかったケースもありました。こうした企業の取り組み自体は素晴らしく、適切なものなので、今後も粘り強く継続し、次回あるいはその次の「なでしこ銘柄」に選定されることを期待しています。第3に、令和5年度からは「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」に優れた企業を「Nextなでしこ共働き・共育て支援企業」として選定しています。「共働き・共育て支援企業」とは、共働きのカップルが子育てをしながら、それぞれの希望するキャリアを実現できるよう支援する企業を指します。日本では共働き世帯が増加しているものの、女性がフルタイム勤務を継続できている共働き世帯は増えていません。その要因の一つとして、女性が子育てをしながらフルタイムで働くことの難しさや、配偶者である男性の子育てへの参画の少なさが挙げられます。こうした課題を解決し、<共働き・共育て>が当たり前となる社会の実現に貢献する企業が増えることを期待しています。(2025年3月)。

この記事を書いた人
佐藤博樹 (共同代表)
Hiroki Sato

最新研究者メンバーの発言

2025.11.09
仕事と介護の両立
誤解の多い仕事と介護の両立支援
何度も書いていますが、いまだに企業による仕事と介護の両立支援には、誤解があるようです。介護休業期間の延長と休業中の給与補償が望ましい施策だとの誤解が根強いです。こうした企業の取り組みは、社員自身が直接的な介護を担うことを促進することになり、介護離職を増やすことになりかねません。社
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2025.10.23
仕事と子育ての両立
これからの企業の子育て支援-女性の経済力向上と男性単独育休を
マイナビキャリアリサーチLabに寄稿しました。「これまでの仕事と子育ての両立支援は、『男性は仕事、女性は家庭』という性別役割にとらわれることなく、女性も仕事をし、男性も子育てをすることを支援してきた。だが、そのように新しい役割を求められる一方で古い性別役割も担い続けるという、仕事
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2025.09.13
仕事と介護の両立
企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的な支援ツール
 令和6年育児・介護休業法改正を踏まえた実務的な介護両立支援の具体化に関する研究会(座長佐藤博樹)の報告書と「企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的な支援ツール」が公表されました。 これは、令和6年改正育児・介護休業法により義務付けられた①介護離職防止のための雇用環境
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