研究者メンバーの発言

仕事と介護の両立2025.04.16

仕事と介護の両立支援では「働き方改革」が鍵

   2025年4月から、企業による「仕事と介護の両立支援」に関する新しい取り組みが始まりました。しかし、両立支援の重要な柱である「働き方改革」の重要性に関しては、十分に理解されていない現状があります。
   なぜ「働き方改革」が、仕事と介護の両立支援にとって重要なのかは、次の理由によります。
   まず、社員が親の介護に直面する時期を正確に予測することはできません。また、介護の期間がどれくらい続くのかも事前には分かりません。そのため、社員はある日突然、親などの介護の必要に迫られ、介護休業や介護休暇を取らざるを得なくなることがあります。このような状況は、社員本人だけでなく、その部下を抱える管理職にとっても大きな影響を及ぼします。
   部下が急に仕事を休まざるを得なくなれば、業務遂行に支障が出てしまいます。子育てと違って、長期の休業を取得する必要性は少ないですが、介護は突然始まることが多いため、休業や休暇の急な取得に対応できる職場作りが、企業や職場の管理職に求められます。つまり、「仕事と介護の両立支援」では、社員が急に休業・休暇を取らなければならなくなったときでも、業務が円滑に遂行できる職場づくりが不可得なのです。
   しかし、現実には課題がある職場は多いのです。業務量に対して要員が不足していたり、一部の社員しかできない仕事が多かったり、社員の間で業務やその進捗に関する情報共有ができていない職場では、通常時から残業が多く、有給休暇も取りにくい状況になりがちです。こうした職場では、急な休業や休暇への対応が難しく、仕事と介護の両立が困難になります。実際、私たちの研究によると、残業が多く有給休暇が取りづらい職場で働く社員は、親の介護に直面した際に「このまま仕事を続けていけるのか不安だ」と感じる人が多いことが明らかにされています。
   また管理職は、40歳代後半あるいは50歳代が多いため、管理職自身の仕事と介護の両立のためには管理職を含めた働き方改革が必要になります。
  「働き方改革」に関しては厚労省の「  働き方・休み方改善ポータルサイト」が企業の取り組みを紹介しています。
  さらに 仕事と介護の両立支援 ご関心がある方は、佐藤・松浦・池田「従業員への介護情報提供と就業継続意識:「介入」による実証実験」佐藤・武石編著『ダイバーシティ経営と人材活用』(東京大学出版会、2017)をご覧ください。
この記事を書いた人
佐藤博樹 (共同代表)
Hiroki Sato

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